裁決の時期
審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたときは、遅滞なく、裁決をしなければなりません。(44条)
行政不服審査会
行政不服審査会は、行政庁の処分又はその不作為についての審査請求の裁決の客観性・公正性を高めるため、各府省の諮問に応じて、審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈を含め、審査庁の判断の妥当性をチェックする機関です。
行政不服審査会は、行政不服審査法に基づき総務省に設置され、委員9人で構成されています。
処分についての審査請求の却下・棄却
処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下します。(45条1項)
処分についての審査請求が「理由がない」場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却します。(34条2項)
事情裁決
審査請求に係る処分が違法または不当であるが、これを取り消し、または撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分を取り消し、または撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができます。(45条3項)
このように、公の利益を優先して請求を棄却する裁決をすることを事情裁決といいます。
処分についての審査請求の認容
処分(事実上の行為を除く)についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部もしくは一部を取り消し、またはこれを変更します。(46条1項本文)
ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできません。(46条1項ただし)
事実上の行為についての審査請求が「理由がある」場合には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、審査庁の区分に応じ、次の措置をとります。
処分庁以外の審査庁 | 当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更すべき旨を命ずる |
処分庁である審査庁 | 当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する |
ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできません。(47条ただし)
裁決の方式
裁決は、①主文、②事案の概要、③審理関係人の主張の要旨、④理由を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければなりません。(50条1項)
裁決の効力
裁決は、審査請求人等に送達された時に、その効力を生じます。(51条1項)
裁決は行政行為の一種であることから、公定力および不可争力があります。
また、争訟手続を経てなされることから、不可変更力があります。
さらに、裁決は、関係行政庁を拘束します。(拘束力・52条1項)