情報法解説

【情報公開法】なぜ行政文書の存否を明らかにしないで拒否できるの?

情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)第8条では、

行政機関の長は、行政文書の存否を明らかにせず開示請求を拒否できる、という規定があります。

開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律 第8条

これを「グローマー拒否」や「存否応答拒否」と呼ぶことがあります。

「都合が悪いことを隠すなんて、なんて悪法だ」

「さすが隠ぺい体質の国だ」

と感じる人がいるかもしれませんが、この規定にはちゃんとした理由があります。

東京都のグローマー拒否事例

たとえば、【品川区児童相談所の保有する山田太郎に関する個人情報】の開示請求がされたケースを考えてみます。

この場合に児童相談所が存否を明らかにすると、山田太郎と児童相談所の関わりの有無が分かってしまい、

さらに児童相談所の方針も分かってしまう可能性があり、職員の職務遂行に支障をきたす可能性があります。

この事例は実際に東京都で起きています。

東京都公文書情報公開システム 公開公文書①

審査会は、存否応答拒否は妥当だと結論づけています。

このように、存否を明らかにすることでプライバシー侵害や業務に重大な影響を及ぼす危険がある場合にグローマー拒否(存否応答拒否)がされます。

他にも、カルテの情報や図書館の利用者の情報などはグローマー拒否がされます。

疾患を知られたり、本の趣味を知られるのはプライバシー侵害ですから

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