民法解説 解説

クーリングオフについてわかりやすく解説

知っておきたい!消費者保護の強い味方「クーリング・オフ」制度

「契約したけどやっぱりやめたい…」

訪問販売や電話勧誘で商品やサービスを契約した後、そんな後悔をしたことはありませんか?そんな時にあなたの強い味方となるのが「クーリング・オフ」制度です。

この記事では、消費者を守るための重要な制度であるクーリング・オフについて、わかりやすく解説します。

どんな時に使えるのか、手続き方法や注意点まで詳しく説明しますので、いざという時に慌てないためにも、ぜひ最後まで読んで理解を深めてください。

1. クーリング・オフとは?

クーリング・オフとは、契約後一定期間内であれば、無条件で契約を解除できる制度です。訪問販売や電話勧誘など、不意打ち性の高い取引や、複雑な契約内容を十分に理解できないまま契約してしまった場合などに、消費者を保護するために設けられました。頭を冷やして冷静に考える時間(Cooling Off)を与えるという意味合いがあります。

2. クーリング・オフができる取引・期間は?

クーリング・オフはすべての取引に適用されるわけではありません。対象となる主な取引と期間は以下の通りです。

取引の種類期間
訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む)8日間
電話勧誘販売8日間
特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾、結婚相手紹介サービスなど7種類)8日間
連鎖販売取引(マルチ商法)20日間
業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法など)20日間
訪問購入(物品を事業所等以外の場所において買い受けること)8日間

※上記はあくまでも一例です。期間の起算日や適用条件など、詳細については必ず確認するようにしてください。

3. クーリング・オフの手続き方法は?

クーリング・オフの手続きは、**必ず書面(ハガキで可)または電磁的記録(電子メールや事業者が設けるウェブサイトの専用フォームなど)**で行います。口頭では認められないので注意が必要です。

ハガキの場合の記載事項例

契約解除通知書

契約年月日: 令和○年○月○日
商品名: ○○○○
契約金額: ○○○○円
販売会社名: 株式会社○○
担当者名: ○○

上記契約をクーリング・オフに基づき解除します。

住所: ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名: ○○ ○○ ㊞
電話番号: ○○○-○○○○-○○○○

令和○年○月○日(送付日)

ポイント

  • 期間内に通知: 上記の期間内に通知書が販売会社に到達するように送付する必要があります。消印有効ではない場合が多いため注意してください。
  • 特定記録郵便や簡易書留で: 送付の記録が残る方法(特定記録郵便や簡易書留など)で送付しましょう。
  • コピーを取っておく: 送付したハガキのコピーや、送付記録は必ず保管しておきましょう。
  • クレジット契約をした場合: クレジット契約をした場合は、クレジット会社にも同様の通知書を送付しましょう。
  • 電子メール等の場合: 電子メール等の場合は、スクリーンショットなどで記録を残しておきましょう。

4. クーリング・オフの効果

クーリング・オフを行うと、以下のような効果が発生します。

  • 契約は無効になる: 支払った代金は全額返金されます。
  • 損害賠償や違約金を請求されない: クーリング・オフをしたことで、業者から損害賠償や違約金を請求されることはありません。
  • 商品の引き取り費用は業者負担: 商品を受け取っている場合、その引き取り費用は業者の負担となります。
  • 役務(サービス)の原状回復義務は発生しない: エステティックサービスなどで既にサービスを受けていた場合も、その対価を払う必要はありません。

5. クーリング・オフができない場合

以下のような場合は、クーリング・オフができないので注意が必要です。

  • 自分から店舗に出向いて契約した場合
  • 通信販売で購入した場合 (ただし、広告に返品不可等の記載がなければ、商品到着後8日以内であれば、送料は購入者負担で返品できる「法定返品権」があります。特定商取引法第15条の2)
  • 契約金額が3,000円未満の場合(現金取引の場合)
  • 乗用自動車
  • 使用・消費により価値が著しく減少する恐れのある消耗品を使ってしまった場合(健康食品、化粧品など。ただし、販売業者が使用させた場合等は例外となります。)
  • 葬儀などの役務(サービス)
  • その他、法令で定められた適用除外商品・サービス

6. クーリング・オフ期間が過ぎてしまったら?

クーリング・オフ期間が過ぎてしまった場合でも、契約の解除や取り消しができる場合があります。例えば、以下のようなケースです。

  • 事業者に不実告知(嘘の説明)があった場合: 取消権を行使できる場合があります。
  • 契約書面に不備があった場合: 契約書面を受け取っていない、または不備がある場合は、期間を過ぎてもクーリング・オフが可能な場合があります。
  • 消費者契約法による救済: 消費者契約法に基づき、不当な勧誘や契約条項を理由に契約を取り消せる場合があります。

諦めずに、まずは消費生活センターなどに相談してみましょう。

7. トラブルになったら消費生活センターに相談!

クーリング・オフについて不明な点があったり、業者とのトラブルが発生したりした場合は、一人で悩まずに、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。専門の相談員が、問題解決に向けてアドバイスや支援をしてくれます。

  • 消費者ホットライン:188(いやや!)

まとめ

クーリング・オフは、消費者を守るための心強い制度です。しかし、制度の内容を正しく理解していないと、いざという時に適切に行使することができません。この記事を参考に、クーリング・オフについて理解を深め、賢い消費者になりましょう。そして、万が一トラブルになった場合は、一人で悩まずに、消費生活センターに相談してください。

-民法解説, 解説

© 2024 サムライ法律ノート