刑法解説

【刑法】刑事告訴について解説

刑事告訴について解説します。

刑事告訴は、犯罪被害者が捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める法的な手続きです。

以下、刑事告訴の意味、告訴できる人、方法、メリット・デメリット、被害届との違いなどを詳しく説明します。

1. 刑事告訴とは

刑事告訴とは、犯罪の被害者など、法律で定められた告訴権を持つ者(告訴権者)が、警察や検察などの捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。口頭または書面(告訴状)で行うことができます。

2. 告訴できる人(告訴権者)

告訴できる人は、原則として犯罪の被害者です。

ただし、被害者が未成年者や心神喪失者の場合は、親権者や後見人などの法定代理人が告訴を行うことができます。また、被害者が死亡した場合は、配偶者、直系親族、兄弟姉妹が告訴できます。

3. 告訴の方法

告訴は、口頭または書面(告訴状)で行います。

  • 口頭告訴: 警察署などで警察官に犯罪被害の状況を説明し、告訴する意思を伝える方法です。警察官が告訴調書を作成します。
  • 書面告訴(告訴状): 告訴状を作成し、警察署や検察庁に提出する方法です。告訴状には、被害者の情報、加害者の情報(分かっている範囲で)、犯罪事実、処罰を求める意思などを記載します。

告訴状の作成は、弁護士に依頼することも可能です。

弁護士に依頼することで、法的要件を満たした適切な告訴状を作成することができ、告訴が受理されやすくなる可能性があります。

4. 告訴の流れ

  1. 告訴: 被害者などが捜査機関に告訴を行います。
  2. 捜査: 捜査機関は告訴を受けて捜査を開始します。
  3. 送致: 警察は捜査結果を検察に送致します。
  4. 起訴・不起訴: 検察は捜査結果に基づいて起訴または不起訴を決定します。
  5. 裁判: 起訴された場合は、裁判が行われ、有罪・無罪の判決が下されます。

5. 告訴のメリット

  • 捜査の開始を促す: 告訴は捜査機関に犯罪事実を知らせる重要な手段であり、捜査の開始を促す効果があります。
  • 被害者の権利擁護: 告訴によって、被害者の権利擁護が図られます。
  • 犯人の処罰: 告訴によって、犯人の処罰を求めることができます。
  • 検察官に処分結果の通知を求めることができる: 告訴をした場合、検察官は処分結果を告訴人に通知する義務を負います。

6. 告訴のデメリット

  • 手間と時間がかかる: 告訴状の作成や警察署への出頭など、手間と時間がかかる場合があります。
  • 必ず捜査・起訴されるとは限らない: 告訴しても、必ず捜査が行われたり、犯人が起訴されたりするとは限りません。証拠が不十分な場合などは、不起訴となる可能性もあります。
  • 加害者からの報復のリスク: 場合によっては、加害者から報復を受けるリスクも考慮する必要があります。

7. 被害届との違い

被害届は、単に犯罪被害の事実を申告するものであり、犯人の処罰を求める意思表示までは含みません。

一方、告訴は、犯罪事実の申告に加えて、犯人の処罰を求める意思表示を含む点で異なります。

項目告訴被害届
意味犯罪事実の申告+犯人の処罰を求める意思表示犯罪被害の事実の申告
目的犯人の処罰を求める捜査の端緒となる
法的効果捜査機関は捜査を行う義務を負う捜査機関は捜査を行うかどうか判断する
取り下げ原則として告訴の取り消しはできない自由に撤回できる

8. 親告罪

親告罪とは、被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪です。

例えば、名誉毀損罪や器物損壊罪などが親告罪に該当します。

親告罪の場合、被害者が告訴しなければ、捜査機関は捜査を開始することができません。

9. まとめ

刑事告訴は、犯罪被害者が自らの権利を擁護し、犯人の処罰を求めるための重要な手段です。

告訴を検討する場合は、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、告訴状の作成や手続きのサポート、法的アドバイスなど、様々な面で支援してくれます。

また、告訴をするには以下の点も考慮すると良いでしょう。

証拠の保全:告訴を検討する場合は、可能な限り証拠(写真、動画、診断書など)を保全しておくことが重要です。

時効:犯罪には時効があります。時効が成立してしまうと、告訴することができなくなるため、早めに相談・告訴することが大切です。

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