解説

商法と民法の違いまとめ 代理や保証人、寄託など

商法と民法の関係は、商法第1条第2項にて

「商事について商法に定めがない事項は商慣習に従い、商慣習がないときは民法の定めるところによる。」

とされていますが、実際に商法と民法とで異なる規定で押さえておきたいポイントがあったので、まとめてみました。

代理

商法の代理民法の代理
本人のためにすることを示さなくても、本人に対して効力を生じる。(商法第504条)
本人の死亡によっても代理権は消滅しない。(商法第506条)
代理人は、本人のためにすることを示す必要がある。(民法第99条)
本人の死亡により代理権は消滅する。(民法第111条1項1号)

許否の通知

商法の許否通知民法の許否通知
平常取引をなす者からその営業の部類に属する契約の申し込みを受けた場合、許否の通知をしなければならない(商法第509条第1項)契約の申し込みを受けた場合、許否の通知義務はない。

留置権

商法の留置権民法の留置権
被担保債権との個別具体的な牽連関係は不要。
留置物が債務者所有である必要がある。(商法第521条)
被担保債権との個別具体的な牽連関係が必要。
留置物が債務者所有である必要はない。(民法第349条)

質権

商法の質権民法の質権
流質を認めている(商法第515条)弁済期前の流質契約を認めない。(民法第349条)

保証人

商法の保証人民法の保証人
連帯保証人として扱われる(商法第511条第2項)
催告の抗弁権も検索の抗弁権もない。
連帯保証特約がなければ、単なる保証人として扱われる。(民法第454条)
催告の抗弁権と検索の抗弁権がある。

寄託

商法の寄託民法の寄託
商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合、無報酬であっても善管注意義務を負う(商法第595条)無報酬の受寄者は自己の財産と同一の注意をもって保管すればよく、善管注意義務はない。(民法第659条)

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