留置権者の注意義務
民法第298条第1項において、留置権者には善管注意義務が要求されていますが、
1項 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
2項 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
3項 留置権者が前2項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。
民法第298条 留置権者による留置物の保管等
これはなぜかというと、留置物は他人の物だからです。
他人の物である以上、細心の注意を払って扱うべきなのです。
この趣旨から、第2項は暗記するまでもなく当然に導き出せます。
第2項は、「他人の物で丁寧に扱うべきなのだから、使用、賃貸、担保にするには債務者の承諾を得ましょう。」という決まりです。
留置権者がこれらに違反した場合は、留置権の消滅を要求できます。
債務者の承諾不要で使用収益できるのは不動産質権だけ
余談ですが、担保物権で唯一債務者の承諾不要で使用収益できるのは不動産質権だけです。
なぜかというと、不動産を寝かせておくのは社会にとって不利益だからです。