民法解説

民法 占有改定で即時取得がなぜ成立しないのか解説

民法を勉強していると、物権変動の部分で「占有改定による取得で即時取得は成立しない」と学びます。

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

民法192条 即時取得

これは明文の規定ではなく、判例(大判大5年5月16日・最判昭和32年12月27日 ※1)に基づくものです。

なぜなのか、なるべくかんたんに解説します。

占有改定とは

占有改定は占有の移転方法のひとつです。

たとえば、AがBにカメラを売却した後も、そのままAがカメラを使うといった場合

Aは取引前も取引後もカメラを占有しています。

しかし所有権はBに移転しています。

占有改定では、外部から所有権移転がわからないのです。

この場合に即時取得を認めると、Aが売却後もカメラを使っていたときに貸したり売ったりした場合に利害関係人との関係がわけのわからないことになりかねず、買主であるBの保護がおろそかになってしまいます。

なので、占有改定の方法では即時取得が認められないのです。

判決(最判昭和32年12月27日)URL https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53564

※1補足 占有改定による即時取得の可否については、肯定説と折衷説もあります。

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