遺言書

「遺言を書く」と表明すると、なにやら不穏だと言われることがありますが、そんなことはありません。

遺言(ゆいごん・いごん)は、あなたの死後の相続関係を定める最終意思表示であり、相続人間のトラブルを防ぐためにも重要なものです。

遺言については民法に規定があります。

自由に作れるわけではないので、注意が必要です。

本記事では、遺言についてよくありそうな間違いを解説します。

遺言とは

遺言とは、自分が生涯をかけて築いた財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の最終意思表示です。

遺言があることで、相続争いを防ぐことができます。

遺言がないと、相続をめぐり、親族間で争いの起こることが少なくありません。

相続をめぐって親族同志が争いを起こしたら、遺言者も浮かばれません。

遺言には、上記のような悲劇を防止するため、遺言者自らが、自分の残した財産の帰属を決め、相続をめぐる争いを防止しようとする目的があります。

遺言は15歳以上でなければできない

遺言能力については、民法961条に規定があります。

満15歳以上でなければ、遺言はできません。

成年被後見人が遺言をするには2つの条件が必要

成年被後見人(認知症等で後見開始の審判を受けた人)が遺言をするには、①正常な判断能力が回復しており、②医師2人以上の立ち合いがある、という条件が必要です。

夫婦共同で遺言はできない

仲が良い夫婦や親子でありがちなのが、共同遺言です。

民法975条で、共同遺言は禁止されています。

なぜなら、2人以上の者が同一の証書で遺言をすると自由に撤回することが難しくなるからです。

遺言がない場合の相続分

遺言がない場合は、民法の規定に従って相続分が定まります。(法定相続)

法定相続分については、以下の表の通りです。

法定相続人相続分
配偶者2分の1
ほかに相続人がいなければ全額
2分の1
ほかに相続人がいなければ全額
親(直系尊属)3分の1
兄弟姉妹4分の1

遺言の方式は全4種類

自筆証書遺言

「遺言書」と聞いて真っ先に想像される方式の遺言です。

自筆証書遺言は、以下の3つの条件を満たさなければなりません。

  • 遺言者が遺言を全文自筆すること(Wordなどは不可)
  • 日付と氏名の自署
  • 押印すること

WordやPagesで作成した遺言書は認められないので注意が必要です。

2018年の相続法改正により、自筆証書遺言に付属させる財産目録に限ってはパソコンによる作成が認められました。

公正証書遺言

遺言内容を公証人に伝え、公証人が証書を作成する方式を公正証書遺言といいます。

本人確認書類の準備と証人2人以上の立ち合い、証人に支払う謝礼が必要となりますが、遺言を法律のプロである公証人が手掛けてくれ、公証人の立ち合いがあるため信用性が高いのが特長です。

また、公証人との事前の打ち合わせを経るため、内容の整った遺言を作成することができます。

証書の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本・謄本が交付されます。

公証役場を訪問して作成する以外に、公証人に出向いてもらうことも可能です。

秘密証書遺言

特別方式遺言

特別方式遺言は、かなり特殊なケースで使う方式の遺言になるので、本記事では割愛します。

まとめ

遺言は遺産分割において非常に重要になるものです。

4つの方式それぞれにメリットデメリットがあるので、それらを理解したうえで最も適した方式を選びましょう。

遺言作成は弁護士や司法書士、行政書士等法律のプロに依頼することでスムーズかつより良い内容で仕上げることができるので、不安な方は相談することをおすすめします。