行政法解説

行政作用法 即時強制についてわかりやすく解説

行政作用法 即時強制についてわかりやすく解説します。

すごく簡単にいうと、即時強制は

「やばい、どうにかしなければ」という事態に、法律の根拠をもって、命令を省略して行われる実力行使です。

即時強制とは

即時強制とは、

「あらかじめ義務を命じる余裕のない緊急の必要がある場合や、事柄の性質上義務を命じる方法では目的を達しがたい場合に、直接国民の身体または財産に実力を加え、行政上必要な状態を実現すること」

をいいます。

行政上の強制執行には代執行、直接強制、執行罰(間接強制)、強制徴収があり、いずれも①法律→②命令→③執行という順番で行われますが、これらは義務の不履行が前提となっています。

一方、即時強制は義務の不履行を必要としません。

つまり、①法律→③執行となります。

即時強制の例

即時強制の例として、延焼のおそれがある対象物の取り壊し(消防法29条2項)があります。

火事が起こった場合、家を取り壊さないと延焼のおそれがあります。

この場合、家の所有者に「家を取り壊してください」などと命令している余裕はないので、命令が省略されて行政機関が国民の財産に実力行使をするわけです。

即時強制の例としては、ほかにも

道路上に寝ころんだまま熟睡している泥酔者を、警察官が警察署に運び保護する行為(警察官職務執行法3条)、

感染症患者の強制入院(感染症予防法19条3項)、

等があります。

即時強制には法律の根拠が必要

即時強制を行うには、法律の根拠が必要です。

即時強制に関する一般法は存在しないため、個別法によることとなります。

行政上の義務履行確保手段ではないので「条例」で定めることも可能です(行政代執行法1条)

当然ですが、即時強制にも比例原則等の制約があります。

即時強制は取消訴訟の対象になる

即時強制は事実行為ですが、それが継続する場合には、不服申し立てと取消訴訟の対象になります。

まとめ

即時強制は「やばい、どうにかしなければ」という事態に、法律の根拠をもって行われる実力行使です。

司法(予備)試験、行政書士試験、公務員試験のどれにおいても、強制執行と引っかけて聞いてくることがあるので、違いをしっかり押さえておきましょう。

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