民法解説

民法 債権各論 不当利得についてわかりやすく解説

不当利得とは

不当利得とは、正当な理由(法律上の原因)なく財産的利得を得て、これにより他人に損失を及ぼした者に対して、その利得の返還を命じる制度です。

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

民法703条 不当利得の返還義務 

悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

民法704条 悪意の受益者の返還義務等

2022年4月に世間を賑わせた山口県阿武町特別給付金誤振込事件は、町が、4,630万円を誤って違う男性に送金してしまい、受け取った男性に対して、その金額を不当利得として返還請求した事件です。

不当利得の成立要件

  1. 利得が存在すること
  2. 損失が存在すること
  3. 利得と損失との間に因果関係が存在すること
  4. 法律上の原因がないこと

利得が存在すること

損失が存在すること

利得と損失との間に因果関係が存在すること

法律上の原因がないこと

善意の受益者は、現存利益の返還義務を負います。(703条)

悪意の受益者は、受けた利益に利息を付して返還しなければならず、損害が発生している場合は、損害賠償義務も負います。(704条)

転用物訴権

契約上の給付が契約の相手方のみならず、第三者の利益となった場合に、給付者がその第三者に不当利得返還請求をすることができるという問題があります。

これは、転用物訴権と呼ばれる問題です。

例えば、請負人Aが、賃借人Bとの間の請負契約に基づき賃貸人Cから賃借している賃借物を修繕したが、Bが無資力になったため、Bに対する請負代金が無価値となった場合です。

この場合、BとCとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに利益を受けたときに限り、Aは、賃貸人である所有者Cに対して不当利得返還請求をすることができます。

不当利得の特則

債務の不存在を知ってした弁済(非債弁済・705条)

自己に債務

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