行政主体とは
行政主体とは、行政上の法律関係から生じる権利義務の帰属主体をいい、代表的なものとして国、地方公共団体や、大学法人、独立行政法人などがあります。
行政機関とは
行政機関とは、行政主体のために意思決定、意思表示、執行等を行う機関のことです。
①行政庁、②諮問機関、③参与機関、④監査機関、⑤執行機関、⑥補助機関があります。
それぞれ、解説していきます。
行政庁とは
行政庁とは、行政主体の法律上の意思を決定し、外部に表示する権限を有する機関をいいます。
国の行政官庁と地方公共団体の機関を含みます。
行政庁は、一般には1人の自然人からなる独任制と複数の自然人からなる合議体の形態があります。
独任制の行政庁は、各省大臣、地方公共団体の長、警察署長、税務署長など、自然人1人で構成され、合議制の行政庁は、内閣や公正取引委員会など、自然人複数人で構成されます。
諮問機関とは
諮問機関とは、行政庁の諮問に応じて、または自発的に、調査審議すべき問題について学識経験者や行政その他の経験者で検討、協議し、望ましい内容を公平な立場から答申するための機関です。
諮問機関は、通常は合議制で、各種の審議会、調査会、協議会、分科会、有識者会議などがあります。
諮問機関の意見や答申は行政庁を拘束しませんが、できるだけ尊重されるべきとされています。
参与機関とは
参与機関とは、法の適用の公正を図る等の目的で行政機関の意思決定に参与する機関です。
言ってしまえば専門家の集まりで、諮問機関と異なり、参与機関の議決は行政庁を拘束します。
参与機関の例として、
- 法制審議会
- 地方制度調査会
- 電波監理審議会
- 検察官適格審査会
などがあります。
監査機関とは
監査機関とは、行政事務に関して監督や検査を行う機関で、会計等を監査し、職務や権限行使が適切であるかどうか監査する機関です。
監査機関の例として、
- 会計検査院
- 行政管理局
- 監査委員
などがあります。
執行機関とは
執行機関とは、行政目的を実現するために、法律、政令、条例等に基づいて決定した意思を実力をもって執行する機関をいいます。
執行機関の例として、
- 地方公共団体の長、および教育委員会などの各種委員会または委員
- 警察官
- 租税の徴収職員
などがあります。
国の行政組織
内閣の統括下にある国の行政機関のうち、内閣府以外のものは国家行政組織法によって規律されます。
内閣
内閣は、憲法上の機関として行政権を担当します。
内閣総理大臣は、内閣府の長として、その事務を統括し、職員の服務について統督します。(内閣府設置法6条1項)
行政各部
国家行政組織法では、国の行政機関として省・委員会・庁の3種類を定めています。(国家行政組織法3条2項)
それ以外のものは、国家行政組織法上の行政機関ではありません。
内閣府は、内閣府設置法に内閣府の組織に関する規定があります。
国の行政機関、内閣府は、国の出先機関である地方支部局を置くことができます。(国家行政組織法9条)
行政機関相互の権限
行政庁は、自己の権限の全部または一部を他の行政機関に代わって行使することができます。
行政庁は、権限を代理することができ、代理には授権代理と法定代理があります。
授権代理
授権代理とは、行政庁が自らの権限の一部を他の行政機関に代理行使させることを定めることをいいます。
授権代理では、代理する機関は本来の行政庁の名前で権限を行使し、効果も本来の行政庁に帰属します。
法定代理
法定代理とは、法律の規定に基づき代理権が与えられるものをいいます。
法定代理では、法律によってあらかじめ代理関係の発生が規定されています。
たとえば、行政庁が事故や病欠などで自ら権限を行使することができない場合に、他の行政機関が本来の行政庁の権限の全てを行う場合などがあり、国家公務員法11条3項などがその例です。
行政機関の権限の委任
権限の委任とは、権限を有する行政庁が、その権限の一部を他の行政機関に移譲し、その行政機関の権限としてこうしさせることをいいます。
法律により定められた権限の所在が移動し、本来の行政庁はその権限を失います。